
GTM 戦略とは?

GTM 戦略という用語を最近よく耳にするけど、英語でよく分からないし、実際に GTM 戦略を描くのは複雑で難しいのではないかと思っていませんか?
GTM とは、“Go-To-Market” の略語で、市場進出を意味するマーケティング用語です。新製品/サービスのリリースのみならず、既存製品/サービスの新機能のリリースにも使われるマーケティング戦略です。
簡単に説明すると、
- 戦略の目的が何で、
- 自社の製品/サービスが顧客にもたらす価値が何で、
- その価値で顧客のどのような課題を解決でき、また競合他社よりもどこが優れていて、
- それらの競争優位な価値をどのターゲット市場および顧客に対して、
- どのように届けるか?
- そして、戦略の目的を実現できたと判断するための指標は何か?
を統合的に整理したプランを GTM 戦略と言います。
ちなみに GTM 戦略は IT 業界特有のものではなく、すべての業界、またすべての製品/サービスにおいて活用できます。
各種のリサーチを行った上で担当製品/サービスの GTM 戦略を描き、キャンペーンマーケティングマネージャー(GTM 戦略を実現するためのマーケティング施策の立案および実行を担当するもの)と密に連携しながら自ら描いた GTM 戦略を各種マーケティング施策のプランに落とし込むのがプロダクトマーケティングマネージャーの仕事となります。GTM 戦略の実現に必要となるリソース(人、物、金、そして情報など)の適切な配分にも責任を負う場合があるため、プロダクトマーケティングマネージャーのことを 「ミニ CEO」 と呼ぶことがあります。
このように言うと、GTM 戦略を描くことは非常に複雑かつ難しく聞こえますが、フレームワークを使いうことで抜け漏れの少ない GTM 戦略を描くことができます。ただし、唯一無二のフレームワークは残念ながら存在しません。対象となる製品/サービス、それらを投入する市場、ターゲット顧客、その他によって GTM 戦略のフレームワークは異なるので、まずは基本的なフレームワークを使用して GTM 戦略のドラフトを作成し、その上でカスタマイズしていくのが最も効果的かつ効率的です。
GTM 戦略の基本的なフレームワークの一例をご紹介します。
GTM 戦略の基本的なフレームワークの一例をご紹介します。
- 自社の製品/サービスを市場に投入して実現したい目的は何か?
- 自社の製品/サービスを投入すべき市場はどこか?
- その市場規模はどのくらいで、そのうち自社が獲得可能な最大市場規模(TAM: Total Addressable Market)はどのくらいか?
- 自社の製品/サービスがターゲットとすべき顧客はどのような人か?(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング、ペルソナ)
- その顧客は何が不足している/課題だと感じていて、その不足を充足/課題を解決するために欲しているもの(前者:ニーズ、後者:ウォンツ)は何か?
- 自社の製品/サービスがその顧客にもたらす価値、課題に対する解決策は何か?
- その価値、解決策は、競合他社が提供している同種の製品/サービスと比較してどこが優れているか?
- その価値、課題に対する解決策を効果的に表現するメッセージはどのようなものか?
- その価値、課題に対する解決策をどの手段を活用すれば自社製品/サービスのターゲット顧客に届けることができるか?
- 1の目的を達成したか否かを判断するための基準、すなわち 「重要目標達成指標」、「重要業績評価指標」(KGI: Key Goal Indicator、KPI: Key Performance Indicator)は何か?
これだけの多くのことを 1 人でリサーチし、考え、戦略に落とし込むのは簡単なことではありません。また 1 人で取り組むと視野の狭い戦略となってしまう恐れもあります。そのため、1 人ではなく、複数のプロジェクトメンバーと一緒にブレインストーミングやディスカッションをしながら、是非楽しんで取り組んでみてください。
あなたの会社、ビジネスのさらなる成長への旅の第一歩のはじまりです!
シリコンバレーで注目!Product-Led Growth 戦略とは?

イノベイティブな IT スタートアップ企業が数多く生まれるアメリカのシリコンバレーで、いま最も注目されている SaaS (Software as a Service) ソリューションの GTM 戦略に、Product-Led Growth 戦略(製品主導型成長戦略)があります。この戦略は、圧倒的な成長を遂げつつある Zoom, Slack, Dropbox などが採用しているということでアメリカで大きな注目を浴びています。IT スタートアップ企業だけでなく、Salesforce, Google, HubSpot などの巨大なグローバルIT企業からも注目され、また導入されている新しい成長戦略です。
製品主導型成長戦略は、Product-Led Inc の創業者で、ベストセラー “Product-Led Growth: How to Build a Product That Sells Itself” の著者であるウェス・ブッシュ氏によって提唱されている、「セールス(営業)がプロダクトを売る」のではなく、「プロダクトでプロダクトを売る」というにユニークな戦略です。この戦略のもとでは、自社の SaaS ソリューションを無料トライアル(すべての機能を期間限定で見込顧客に無料で使ってもらうビジネスモデル)やフリーミアム(基本的な機能を見込顧客に無料で使ってもらい、さらなる機能を使うには有料版を使ってもらうビジネスモデル)を通して見込顧客にまずはそのソリューションを使ってもらい(洋服を買うときに試着するのと同じように、「まずはそのソリューションを実際に試してみたい」という見込顧客の「ウォンツ」を満たす)、プロダクトが提供する価値を簡単に体験してもらいます。購入する前に無料で試すことができるので敷居を下げて間口を広げることができ、その結果そのソリューションを導入するメリットを多くの見込顧客に感じてもらうことができます。ソリューション提供者は、見込顧客がプロダクトの価値を感じ始めてきたことをきっかけとして有料版へのアップグレードを促す製品内プロモーションを行うことで戦略的に有料版に導いて収益化を図ることができます。つまり、「トライアル → マーケティング → 営業 → オンボーディング」の一連の工程をプロダクト自体に組み込み、プロダクトの中でそれらを行う戦略が製品主導型成長戦略なのです。プロダクトの導入メリットを見込顧客に感じてもらうのが早ければ早いほど、無料トライアルユーザーやフリーミアムユーザーから有料ユーザーへと切り替わるまでの期間も短くなります。まさに、セールス(営業)ではなく、プロダクトでプロダクトを売る戦略と言えるわけです。
製品主導型成長戦略には自社の SaaS ソリューションの競争優位性を高める多くのメリットがあります。例えば、営業主導型成長戦略よりも早いスピードで事業拡大を目指すことができます。フリートライアルやフリーミアムはプロダクトの全部または一部を無料で自ら試すことができるため見込顧客にとっては敷居が非常に低く、その結果 「認知 → 興味 → 比較・検討 → 購買 → リピート」 といったカスタマージャーニーにおいて見込顧客がプロダクトに接触する最も初めのステージ (TOFU: Top of the Funnel) でより多くの見込顧客を取り込むことができるからです。また、製品主導型成長戦略は、「マーケティング → 営業 → オンボーディング」 の一連の工程をプロダクトに組み込みプロダクトの中で行う戦略なので、上記の一連の工程を直列的に 1 つ 1 つ順番に行う営業主導型成長戦略と比べていち早く世界中の見込顧客に対して自社の SaaS ソリューションを提供することが可能となります。ちなみに、 「トライアル → マーケティング → 営業 → オンボーディング」 の一連の工程をプロダクトの中で行うことで、見込顧客がそのプロダクトに価値を感じるまでの時間(タイム・トゥ・バリュー)とセールスサイクルを大幅に短縮させられることができ、その結果、低い顧客獲得コスト (CAC: Customer Acquisition Cost) を期待することができ、1顧客あたりの利益率が高まります。
今、「セールス(営業)がプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代への大きなパラダイムシフトが起きつつあります。あなたの会社が SaaS ソリューションを開発している会社で、将来的にグローバル市場への進出も考えているのであれば、グローバルで今注目されている製品主導型成長戦略に沿ってソリューション開発、プロダクトマネジメント、マーケティング、セールス、オンボーディング等を構築することを強くおすすめします。
